「おめでとう」という言葉

我が家も新年が明けました。昨年は2月の「ひぃ」の誕生から始まり、本当にいろんなことのあった一年でした。このブログでも、何から書こうかいきなり迷ってしまっています。
よくあるダウン症の子育て体験ブログであれば、生まれてからの親としての受容の経過を語っていくところでしょうが、最初の1週間のことを書こうと思うと、思い出すだけで非常にエネルギーを使いそうで、正直なところためらっています。
そこで、まずは書きやすいところから、ある経験について書こうと思います。

「ひぃ」の誕生直後、僕はNICUのある病院と妻のいる産院とを、冷凍した母乳を持って行き来する毎日で、職場に復帰できたのは、誕生から10日後のことでした。
出勤してまずは総務に顔を出し、この間の礼を述べてから、総務担当の部長からこっそりと出産祝いを渡された時は、目頭が熱くなったのを覚えています。
ところが、その後の職場の同僚の態度はとても淡々としたものでした。以前に長女が誕生した時とは明らかに違う空気。出産経験のある女性から「おめでとう」と言われた時に、はじめてその違和感の正体に気がつきました。普通であれば、子どもが生まれた同僚に対して当然のように投げかけるはずのその言葉を、みんなわざと避けているような感じを受けたのです。結局、その日に会った同僚で「おめでとう」と口に出して言ってくれたのは、前述の女性だけでした。
それまで僕が病院から逐一、上司に「ひぃ」の予断を許さない状態を報告していたので、他の同僚も状況はある程度知っていたのでしょう。確かに、娘に生命の危険があるという時に、素直に「おめでとう」という言葉をかけることへのためらいは理解できます。それでも、一つの生命の誕生は素直に祝ってほしい、と心から感じました。
その時は確定診断は出ていませんでしたが、「ひぃ」にダウン症の疑いがあることもすでに職場には伝えていました。もしかすると、障害のある子どもが生まれたことが、そのためらいにつながっているのでは、とまで勘ぐってしまいました。考えたくないことですが。
実は、社内結婚である僕たち夫婦の職場は、いわゆる福祉の職場なのです。福祉の専門家だけに、色々と状況を想像してしまうのでしょうか。妻が義父にその日の職場の状況を伝えると、「一体どんな職場なのか」と憤っていたそうですが、実際、僕も少し残念な気持ちになりました。

人によって色々と状況はあるかとは思いますが、もし周囲の誰かに子どもが生まれた時は、制限なく、「おめでとう」と言ってあげたいと思います。

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