出生前診断

先日、出生前診断の施設が拡大するという記事が流れていました。こういった記事を見るたびに、とても暗い気持ちになります。目の前で笑顔を見せる「ひぃ」の命が、真っ向から否定されているような、そんな感覚に襲われるのです。

「新型出生前検査」拡大へ、施設の認定条件緩和…日産婦方針 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

ドラマ「コウノドリ」でも、この出生前診断をテーマにした回がありました。そこでは、主人公の鴻鳥先生が「検査をした人、産まない決断をした人も、間違っていない」という主旨のことを語っていました。確かに、個人の選択として間違っているということは誰も言えないでしょう。ですが、上の記事の解説でもあるように、「昨年9月までの4年半で5万1139件行われ、陽性と確定した人の97%に当たる654人が人工妊娠中絶を選んだ」というのが現実なのです。結局はほとんどの人が、「命の選別」を行っているのです。出生前診断を選択した人は、「ダウン症の子はこの世にいない方が良い」と潜在的に思っていることを表明しているのと変わりはない、と言ったら言い過ぎでしょうか。一体、何のためにこの検査があるのか、よく理解ができません。
今のところ、出生前診断を受けた人の割合は、まだ4%であるというのが救いですが(平成28年度の妊娠件数114万人=出生数976,979人+中絶件数168,015)、今の日本の状況を見ると、これも今後どうなるか分かりません。ダウン症の子どもがほぼ生まれなくなりつつあるアイスランドのような状況に至ってしまうことを、今から危惧しています。

SHOCKING Eugenics in Iceland: Nearly All Babies with Down Syndrome Aborted | CBN News

繰り返しますが、出生前診断を受けることは、間違ってはいないのでしょう。なぜなら、本人の選択のみに原因を帰せられるものではありませんから。未来ある子どもたちの親を、「命の選別」へ向かわせてしまうような社会そのものに、根本的な誤りがあるように思います。

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